事業内容
日本火災学会は,火災に関する科学および技術の研究の促進および交流をはかり,もって学術・技術の発展と社会の福祉に寄与することを目的としています。
- 研究発表会・研究会の開催
- 講演会・講習会・懇談会の開催
- 会誌、論文集および図書の刊行
- 火災に関する研究および調査
- 研究の奨励および助成
- 研究者の育成および表彰
- 国内外の他学会、その他機関との連絡、協力
- その他日的を達成するため必要な事業
2023年度の事業の実施状況は以下の通りであった。
1) 研究発表会,火災科学セミナー,講演討論会の開催
ア. 研究発表会の開催 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に配慮し,2023 年5 月27 日,28 日に研究発表会を対面とオンラインとのハイブリットにより開催した。研究発表会概要集はPDF ダウンロードおよびCDROMにより発行した。
開催年月日 | 会場 | 発表項目・発表件数 | 参加人員 |
2023 年 5 月27 日 5 月28 日 |
弘前大学文京キャンパス (青森県弘前市文京1) |
ア. 火災性状 59 イ. 消火・消防 22 |
2 日間延べ 参加者 306 名 (内訳) 対面 236 名 オンライン 70 名 |
イ. 火災科学セミナーの開催 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に配慮しながら,集合型の火災科学セミナーを次のとおり開催した。
開催年月日 | 会場 | 参加人数 | 協力機関 | 主題・テーマ |
2023 年 11 月10 日 |
神戸市産業振興センターハーバーホール(兵庫県神戸市中央区東川崎町1-8-4) | 240名 | 神戸市消防局 |
震災の教訓を踏まえた未来への備えについて |
2023 年 12 月5 日 |
北とぴあつつじホール(東京都北区王子1-11-1) | 194名 | 東京消防庁 |
デジタル先端技術の防火防災分野での活用の展望 |
ウ. 講演討論会の開催 講演討論会を次の通り開催した。
開催年月日 | 会場 | 参加人数 | 主題・講演 |
2024 年 1 月19 日 |
オンライン開催 | 110名 |
主題:「駐車場の消火設備における現状と課題」 講演 |
2) 学会誌・学術図書等の刊行
ア. 会誌「火災」 次の通り刊行した。
巻 | 号 | ページ数 | 特集記事等 | 発行部数 |
Vol.73 | No.2 | 64ページ |
住宅防火対策の今 |
1,500部 |
Vol.73 | No.3 | 64ページ |
火災安全分野で活動する女性 ~ジェンダーフリーに向けて~ SDGsに向けた法曹と火災専門家の協同の必要性, 火災保険の近況と参考純率について, 試験・性能評価・認証機関の防耐火関連業務, 避難・防災関連の業務紹介(GBRC) |
1,500部 |
Vol.73 | No.4 | 64ページ | 関東大震災と以後100 年間の火災科学 (関東大震災の概要, 関東大震災時における横濱市の大火と避難の実態, 市街地火災の現象把握, 関東大震災から100 年の広域火災避難を取り巻くリスクの変遷, 関東大震災から100 年:消防防災の発展経過と課題, 社会情勢の変化と技術革新を見据えた震災対策の在り方~火災予防審議会での検討から~) |
1,500部 |
Vol.73 | No.5 | 64ページ | リチウムイオン蓄電池の火災安全 (製品事故情報から見えるリチウムイオン電池関連製品事故の実態, リチウムイオン電池に起因した火災事例,リチウムイオン蓄電池の消防法上の規制及びその見直し,リチウムイオン蓄電池の基本原理と火災リスク要因, 次世代リチウムイオン蓄電池の安全性とエネルギー密度向上, 電気自動車火災に対する高膨張泡消火装置の効果について, 電気自動車の普及と高速道路保全業務実務者のための火災事故知識) |
1,500部 |
Vol.73 | No.6 | 64ページ | 人口減少社会における火災安全 (超高齢・人口減少社会の火災, 人口減少社会における消防体制, 人口減少時代における消防団の現状と課題, 人口減少社会に対応した避難研究へのVR 技術の利用可能性, 超高齢社会におけるセンサやロボット技術を活用した避難の可能性, 耐火被覆吹付ロボットの開発) |
1,500部 |
Vol.74 | No.1 | 64ページ | 消防・防災分野におけるGX(グリーン・トランスフォーメーション)対応 (電動可搬消防ポンププロトタイプの開発, 再処理工場の火災・爆発に関する安全対策, エネルギーシフトと泡消火技術高度化への取り組み, 消火器リサイクルシステムによる環境負荷低減の取り組み, 木造建築の推進と火災安全) 防災コラム(その20)(地震時の断水に備えて防火水槽の整備は急務) |
1,500部 |
イ. 論文集 次の通り刊行した。
巻 | 号 | ページ数 | 論文名 | 発行部数 |
Vol.73 | No.1 | 19ページ | 1) ガソリン蒸発拡散シミュレーションの開発 2) 難燃処理薬剤で被覆材で構成した耐火集成材の耐火性能に及ぼす木板節の影響 |
800部 |
Vol.73 | No.1 | 14ページ | 1) 表面材厚さと下地材の熱慣性を考慮した着火時間の予測 | 800部 |
Vol.73 | No.1 | 7ページ | 1) 小型木材クリブによる熱源モデル化 | 800部 |
3) 研究及び調査等の実施状況
学術委員会に7つの専門委員会を設置し、研究・調査を実施した。
4) 業績の表彰及び研究の奨励
ア. 日本火災学会賞の授与 2023 年5 月27 日付けで, 2023 年度の日本火災学会賞を山口純一君に授与した。なお,2023 年5 月27日の日本火災学会研究発表会において授与式と記念講演を実施した。2024 年度の日本火災学会賞は,2024 年2 月9 日の学会賞選考委員会において水野雅之君が選考され,2024 年3 月22 日の理事会に諮り,授与することを決定した。
受賞者氏名 | 対象業績題目 |
水野 雅之 | 高層建築物・地下空間・住宅からの火災時避難安全に関する一連の研究 |
イ. 日本火災学会内田奨励賞の授与 2023 年5 月27 日付けで, 2023 年度の日本火災学会内田奨励賞を田中俊成君と四元順也君に授与した。なお, 2023 年5 月27 日の日本火災学会研究発表会において授与式を実施した2024 年度の日本火災学会内田奨励賞は,2024 年2 月9 日の学会賞選考委員会において松木大輝君が選考され, 2024 年3 月22 日の理事会に諮り,授与することを決定した。
受賞者氏名 | 対象業績題目 |
松本 大輝 | 火災時のフィードバック熱量のモデル化に関する諸検討 |
ウ. 学生奨励賞の授与(事務局) 2023 年度の学生奨励賞は,28 編の応募に対し,学生奨励賞選考委員会により選考された,上田晃大君,末柗 潤一君, チン ホアイ ドゥック君, 田中 啓太君, 吉山 有希君の5 名に対し学生奨励賞を授与した。
エ. 日本火災学会技術賞の授与 2023 年年5 月27 日付けで, 2023 年度の日本火災学会技術賞を新谷祐介君,今西美音子君,世良大志郎君,万本敦君,岸上昌史君,山口純一君,播磨修二君, 大東宏次君に授与した。なお,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に配慮し,2022 年5 月28 日の日本火災学会研究発表会オンライン開催において授与式を実施した。2024 年度の日本火災学会技術賞は, 2024 年2 月9 日の学会賞選考委員会において後藤治君,松山賢君,村田眞志君,石郷岡将平君,重盛洸君,牧住敏幸君,田中勇記君,野竹宏彰君が選考され, 2023 年3 月3 日の理事会に諮り,授与することを決定した。
受賞者氏名 | 技術名称 |
後藤 治 松山 賢 村田 眞志 石郷岡 将平 |
高い延焼抑制効果(着火遅延効果及び燃焼抑制効果)及び付着性能を有する高粘度液体放射装置 |
重盛 洸 牧住 敏幸 田中 勇記 野竹 宏彰 |
文化財建造物 自動火災検知放水システム |
オ. 日本火災学会業績賞の授与 2023 年度の日本火災学会業績賞は授与なしであった。2024 年度も該当者なしであった。
カ. 内田博士研究助成金交付 2024 年1 月24 日に開催された理事会において,本年度の内田博士研究助成は,東京大学廣井悠君から申請のあった「関東大震災から100 年の地震火災対策の総括と普及啓発に関する研究」研究助成金を交付することが決定した。
5) 関連学術団体との連携及び協力 安全工学シンポジウム及び燃焼シンポジウムなどの団体の事業と協賛又は後援を行った。
6) 国際的な活動
・つくば国際会議場で開催されるIAFSS シンポジウムの推進 IAFSS シンポジウム現地実行委員会を立ち上げ,同シンポジウムを執り行った。