2025年2月岩手・大船渡の山林火災
岩手県で林野火災が拡大し、住民避難が呼びかけられている。テレビ報道も住民が状況を理解し、自発的に避難行動が取れるように工夫している。地面に堆積している落ち葉などの可燃物層を火炎が燃え拡がり、濃煙が覆っている。針葉樹が多い地域での火災となっている。可燃物層が薄いとき可燃物層内の温度はほぼ一定となる。可燃物層が厚いとき可燃物層の表面と深部では温度が異なり可燃物層に温度分布が形成される。このとき表面に火炎が形成されると内部の温度差によって熱が失われるために表面の酸化反応が抑制され濃煙が生成し、表面に滞留する。この濃煙は可燃性噴霧であり、空気との混合状況、熱的状況が発火条件を満たすと瞬時に発火する。2019年4月5日の中国四川省四川木里森林火災1)では、森林消防隊員27人と地方幹部・大衆3人が犠牲となっている。中国のテレビ局の番組2)では、風向が変わった直後に急激に火災が拡大し、避難できなかったと述べられている。濃煙に入ることは危険であることを改めて注意喚起したい。
2025(令和7)年2月28日 日本火災学会会長 鶴田 俊
1) http://j.people.com.cn/n3/2019/0405/c94474-9564168.html
2) https://tv.cctv.com/2019/04/13/VIDEazOvefF73NKqJy3MjLS9190413.shtml?spm=C45404.P3NMsb3VimOL.E52pA4sOGoyv.1116