大阪 道頓堀ビル火災 2025年8月

 大阪 道頓堀の雑居ビルで2025年8月18日に火災が発生し,6階建てと7階建ての2つのビルが焼け,2名の消防隊員が死亡しました。亡くなられた消防隊員の方には,心からお悔やみ申し上げます。

 建物の状況や火災の経過,出火原因などについては,警察や消防が調査中であり詳細は分かりませんが,報道された映像を見ると,比較的早い時点で火炎が建物の外壁全体を覆い,短時間に上階延焼しているようです。なぜ急激な延焼拡大が生じたのか,なぜ消防隊員が逃げ場を失うことになったのか,原因を明らかにするとともに,このような被害を防ぐための対策を示すことが必要だと思います。

 日本火災学会では,これまでの重大な被害をもたらした火災について,関連機関と連携して調査・研究を行い,その活動の成果は,以下に示すように学会誌「火災」などを通じて発表して参りました。引続き本会はこのような火災に注目し,被害軽減に向けた取り組みを進めたいと思います。

2025年8月22日 日本火災学会会長 萩原一郎

 

〇消防隊員が殉職した事例について

・大津 暢人, 新井場 公徳, 北後 明彦, 阿部 伸之, 菊池 悠:火災出動における消防隊員の殉職事故の発生傾向,日本火災学会論文集,71 巻 2 号,p. 43-51,2021

・消防活動の現状と課題―消防隊員の安全をいかに確保するか―,火災学会講演討論会テキスト,2016.1.28

・北後明彦:神戸市で発生した小麦粉製品工場における消防士殉職火災,火災,60巻1号,2010

 

〇急激な延焼拡大の事例について

・関澤愛:大阪北新地の一階段小規模雑居ビル火災に思うーあらためて喚起された二方向避難確保の重要性,火災,72巻1号,2022

・高層建築物における可燃性外装の燃えひろがりの危険性について考える,火災学会講演討論会テキスト,2019.1.24

・急拡大する火災など不安定環境下での事故事例とその対策,火災学会講演討論会テキスト,2010.1.28

 

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