2026年6月 東京都北区の学校火災

 2026年6月19日(金)11時半頃 東京都北区の小学校で火災が発生し、教室など約200㎡が焼損しました。この火災により児童約330人が避難することとなり、児童と教師の合計11人が負傷しました。負傷された方及び学校関係者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 火災の経過や出火原因などは今後明らかにされると思いますが、マスコミから得られる情報によれば、4階の音楽室準備室から出火し、音楽室で授業を受けていた児童24人は階段を使って避難できず、一時的に庇の上に逃れて消防の救助を待つ状況になりました。少しでも条件が異なれば、より深刻な被害が生じたものと考えられます。2025年の消防白書によれば、学校火災は全国で1年間に194件発生しており、必ずしも稀なことではありません。そこで、今回の火災を踏まえて、学校の火災安全について以下の通り整理しました。学校の火災安全を高める助けになれば幸いです。

 

①出火場所:
 今回の火災は、理科教室や家庭科教室、調理室など火気を扱う部屋ではなく、音楽準備室からの出火でした。最近増えている電気火災やバッテリーからの出火などを考慮すれば、今まで出火が想定されていない部屋からの出火も考えて対策をすることが必要です。

②火災感知:
 今回の火災では、非常ベルが鳴り、教師が駆けつけて消火器で火を消そうと試みましたが失敗に終わったようです。恐らく消火器で消すことができない位にまで火災が大きくなっていたと考えられます。火災が急激に拡大したか、あるいは火災が大きくなるまで感知が遅れた可能性があります。火災を早期に発見できるように、感知器の設置や非常ベルの音が十分な大きさで聞こえることを確認したり、非常ベルが鳴ったら安全な場所に直ぐ避難できるようにしましょう。

③避難経路:
 初期消火に失敗した後、児童らが避難しようとした時には廊下に煙が充満して、避難できなかったようです。火災の煙から避難経路となる廊下を守るためには、出火室から廊下に通じる出入口の戸をしっかりと閉めましょう。防火戸でなくても煙の拡大を遅らせる効果があるので、安全に避難できる時間を延ばすことが期待できます。

④避難器具:
 通常の避難が困難な場合に備えて、児童たちがいた音楽室には救助袋が設置されていましたが、今回の火災では使用されませんでした。火災時に避難器具を初めて使用することは難しいので、避難訓練などで事前に体験し、正しい使い方に慣れておきましょう。また、避難器具の設置から避難を完了するまで、どの位の時間がかかるのかを把握しておきましょう。避難器具で避難するのは時間がかかるので、火災の熱や煙に晒されない環境で待つことができるように、避難器具の適切な設置場所をあらかじめ考えておくことが重要です。

 

 火災は身近な災害ですが、実際に火災の現場を見たり経験する機会はそれほど多くないと思います。まず、建物にどのような防火対策がされているのかを理解し、万が一火災が発生した時にはどのような状況になるのかを想像して、命を守るための安全な避難方法を確認しておきましょう。

 

2026年6月26日 会長 萩原一郎